紙吹雪




そしてこっそり聞き耳をたてる。


声を抑えながらも興奮を隠しきれないかのように肩を揺らして話を進める男たち。


だが、そんな彼らよりも興奮を隠しきれず驚きに目を見開いたのは何を隠そう歳三で。




え、だって…まだ…




「でも、まだ新月じゃねぇだろ!?」




まさに今この瞬間の歳三の呟きを代弁するように、その話を聞いていた一人が困惑した声色で話を持ち込んだ男に問う。

歳三はその言葉に同意するよう(陰から)激しく首を縦に振った。



そう。


今はまだ新月ではない。

誰かが襲われるなど、そんなことあるはずがないのだ。




…んなの…ただの、噂にきまってる。




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