紙吹雪
初めて物取りを追ったあの日に見た影は間違いなく馨であったこと。
新月の日だけに行われる理由。
馨には捜し物があるということ。
そして何より歳三自身が彼女に会いたくてその行方を探しているということを。
馨のことを語る歳三はいつになく真剣な表情をしていて。
そんな普段見ることがない歳三を勝太は信じられないといった顔で凝視した。
…まぁ…当然の反応っちゃー当然の反応だわな。
「…それ…本当なのか…?」
「あぁ」
戸惑いを匂わせる言葉に歳三は迷うことなく短い返事をすると、まっすぐ勝太に視線を合わせ頷く。
暫し二人の間に流れる沈黙。
短いようで長い、長いようで短いそれは外からの邪魔を弾くように続いて。