紙吹雪
《帰り道》
あれから二人は時間を忘れ話をしていた。
互いに深く探りあうことはせず、あの花は綺麗だとか、あそこの蕎麦は美味いとか。
そんなたわいもない話を楽しそうに続ける二人。
そうこうしているうちに、太陽はだんだんと地平線にその姿を隠し始める。
「やべ、暗くなってきたな…かお、家どこだ?送るぜ?」
色の落ちてきた空を見て、歳三は馨に問い掛けた。
「あ、ううん!大丈夫です!すぐ近くだから!」
歳三の問いに何故か焦ったように手を振り断りをいれる馨。
不思議に思った歳三だったが、何か理由があるのだろう、と深くは追求しなかった。
「そか。んじゃ気ぃつけろよ?最近何かと物騒だし」
歳三はよっと腰を上げて馨の頭を撫でる。
馨は"はい"と控えめに返事をして微笑んだ。