紙吹雪
惣次郎の豆だらけの小さな右手にしっかりと握られているそれ。
…これ、クナイ…だよ、な…?
クナイといえば忍の有名な飛び道具。
実際に実物を見たのはこれが初めてだが、歳三は昔兄から夜眠れない子どもにするお伽話のようなものでそれを聞いたことがあった。
それを何故か目の前の惣次郎が握り締めていて。
「惣、次郎…これ、どうしたんだ…?」
どう考えても惣次郎のような小さな子どもが簡単に手に入れることの出来るような代物ではない。
自分の直感の良さには自信がある歳三。
それ故に、何となく体にまとわりつく嫌な予感。