紙吹雪
俺はこれを、知って、る…?
浮かんだそんな考えを振り払うように、歳三はごくりと喉を鳴らし頭を左右に振る。
いい知れぬ焦りを感じている歳三の前で、惣次郎は何度か大きく息を吸って呼吸を整えるとゆっくり口を開いた。
「それ…預かったんです、道場の前で。土方、さんに、渡してほしいって……馨、から…」
「…………は?」
惣次郎の言葉に声を失う歳三。
早まる心臓とは裏腹に思考はまるでついていかない。
今、惣の奴…何て言ったんだ…?…かお、る…?
惣次郎の口から紡がれたのは、歳三が恋い焦がれてやまない彼女の名前。