紙吹雪
その事実に、歳三は慌てて試衛館前の道に飛びだした。
大して長い距離を走ったわけでもないのに息があがる。
しかし、いくら辺りを見渡しても馨に似た背中すら見つけることが出来ない。
暫らく立ち尽くしていたが漸く落ち着きを取り戻したのか、はぁと大きく息を吐きその場に座り込む歳三。
バタバタと後ろから聞こえた足音に振り返れば、勝太と惣次郎が歳三に向かって走ってきた。
「ちょっ土方さん!急に走りださないでくださいよー!!」
阿呆ちん!と言って頬を膨らませる惣次郎は年相応の小さな少年で。
そんな惣次郎に怒られ、思わず感情だけで走ってきてしまった歳三は少しばかり恥ずかしそうに頭を掻く。