紙吹雪




こんな近くにかおを知ってる奴がいたなんて…!




歳三が思うわけがなかった。

惣次郎が馨を知っていたなんて。

それは勝太とて同じことだろう。
自分の居ぬ間に弟分と彼女が接触していたなんて夢にも思うはずがない。


そんな二人とは対照的に、寧ろ知らなかったんですかと言いたげな表情をしている惣次郎。




知るわけねぇだろ。




しかし、そういえばと歳三は思い出す。


初めて物取りを捕まえようという話が出たときのことを。


あの時の惣次郎はどこか困ったように笑っていた。


まるで捕まえる必要はないとでも言うかのように。




…あれは、そういう意味だったのかよ…!




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