紙吹雪




「…それ、いつも馨が大事に持ってたやつなんです」




何とも表現しがたい空気が流れる中、惣次郎が歳三に手渡したクナイを指差し静かに口を開く。


呟くように零れた惣次郎の言葉に歳三は自分の手のひらへそっと視線を移した。




「両親から貰ったお守りなんだ、って言ってたんです。でも、もしかしたら土方さんのほうが危ないかもしれないから渡してほしいって…」




"土方さんのほうが危ないかもしれないから"




此処へわざわざ渡しに来た意味を知り、更に手の中で存在感を増すそれ。


馨は歳三や勝太が思っていた以上に歳三の性格を見抜いていたらしい。


歳三が自分のことを知ったことで何か無茶なことをする可能性に気付いていたのだろう。




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