紙吹雪




「惣次郎…かおが今どこに住んでんのかとか、知ってっか…?」


「いえ…すみません。馨の実家は大坂の方で…こっちでどんな生活してるかは僕も…」




やはり、そう簡単には会えないようだ。




そりゃそうだよなぁ…




人の巡り合わせとはなんと難しい。

まるで舞い落ちる桜の花弁を素手で掴み取るかのように。


手をいくら伸ばせど、するりと手から擦り抜けて。


掴んだと思えばまたすぐに風に攫われる。



しかし、だからこそ馨と出会えたことを、育った想いを無駄にはしたくない歳三。


それに決して会える可能性が無いわけではない。

事実、歳三は今こうして一歩ずつ馨に近づいているのだから。




< 237 / 320 >

この作品をシェア

pagetop