紙吹雪
「惣次郎…かおが今どこに住んでんのかとか、知ってっか…?」
「いえ…すみません。馨の実家は大坂の方で…こっちでどんな生活してるかは僕も…」
やはり、そう簡単には会えないようだ。
そりゃそうだよなぁ…
人の巡り合わせとはなんと難しい。
まるで舞い落ちる桜の花弁を素手で掴み取るかのように。
手をいくら伸ばせど、するりと手から擦り抜けて。
掴んだと思えばまたすぐに風に攫われる。
しかし、だからこそ馨と出会えたことを、育った想いを無駄にはしたくない歳三。
それに決して会える可能性が無いわけではない。
事実、歳三は今こうして一歩ずつ馨に近づいているのだから。