紙吹雪
声がしたのは間違いなくあの小物屋のようだ。
静まり返った夜の中響いたその声に三人はごくりとゆっくり息をのみ顔を見合わせると、その場の会話を中断させ急いで店の中へと駆け込む。
「ひぃぃぃ…た、たすけ…っ」
辺り一面に店の品が散乱し歩きづらい。
そんな薄暗い店内を目を凝らし慎重に歩いていく三人。
店の奥まった部屋の角まで辿り着いたとき、漸く二つの人影が浮かび上がった。
そこには既に腕を斬り付けられ血を流しながら、息を切らし仰向けに倒れこんでいるこの店の店主。
そして、呼吸一つ乱すことなくその店主に覆い被るようにしている馨の姿。