紙吹雪
「…刀は…紙吹雪は、何処だ…」
響く、地を這うようなその声は間違いなく馨のもので。
その氷のような声色に思わず歳三の足の動きが止まる。
横を見れば、勝太と惣次郎も顔を強張らせたまま歩みを止めていた。
ピリピリと肌に感じる殺気。
初めて直に体験するそれに、後退りたい衝動が体中を襲う。
馨はそんな歳三たちの存在に気付いているのかいないのか。
短剣を男の首に当て真剣な眼差しを向けたまま。
「しっ知らん…!私は何も…っ」
押さえ付けられた男は顔を真っ青にしながら何も知らないと繰り返す。
しかし
「…此処にあることはわかっている。本当のことを言わぬなら…この咽掻き斬るぞ」