紙吹雪




今の自分の全部をぶつけるように。

この気持ち全てが彼女へ届くようにと願いを込めて。


歳三は全力で馨の名前を紡いだ。



出来るだけ、優しく。

出来るだけ、強く。

精一杯の愛しさと恋しさを乗せて。


どうか、どうか想いが声となり形となり彼女に伝わるように。



歳三が四度目の名前を呼び終わったとき、ふと馨の手から力が抜けた。


するりと手から滑るように擦り抜け、カツンッ…と音をたて床に転がった小刀。

それをゆっくり目で追った後、馨は静かに立ち上がり歳三の方へと振り返る。




「…関係ないなんて、言うなよ」




振り返った馨に右手で頭を掻きながら"寂しいだろ"て困ったように、それでも柔らかく笑う歳三。




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