紙吹雪
それとほぼ同時に、熱さにも似た痛みが歳三の体を襲う。
じわりじわりと熱をもっていく左肩。
「───────ッ」
「!?歳さん!?」
振り下ろされた刀は馨を抱き締めた歳三の左肩をとらえて。
切り裂かれた歳三の肩からはとめどなく血が流れ、動く右手でなんとか傷口を押さえてみるものの出血は止まる気配を見せない。
しかし、そんな中聞こえた心配したように自分の名を呼ぶ馨の声に、自然と歳三の口角がゆるりと上がった。
痛みすら飛んでいくような、そんな不思議な感覚。
己の思考の単純さに呆れながらも歳三は思う。
よかった。かおが無事で。