紙吹雪
《小さなぬくもり》
それからどれくらいが経っただろうか。
「…ん…」
闇へと引きずり込まれた歳三の意識が再び浮上したのは、薄暗い空間でのこと。
ひんやりとした空気を感じ重たい目蓋を無理矢理開けば、うっすらと見えた景色に歳三は首を傾げる。
何処だ、ここ…?
視界に映ったのは見慣れない天井。
それは実家のものでも試衛館のものでもない。
ただ鼻を擦る香の匂いだけは一度嗅いだことがある気がした。
そんなことを考えながらぼーっと天井を眺めていれば不意に痛みを感じた左肩。
っ…あぁ、俺怪我して…生きてたのか…
右手で探るように左肩を触れば真新しい布の感触。
それが丁寧に巻かれた包帯なのだとすぐにわかった。