紙吹雪




歳三の頭に残っているのは、ごめんねと紡がれた馨の言葉だけ。

その後のことがわからない。




…あのあと、どうしたんだ…?




目を閉じて必死に途切れる前の記憶を辿れば、馨の言葉の少し前に庄左衛門の家に行くと言っていた勝太の言葉を思い出して。

此処が庄左衛門の屋敷なのだと納得する。


それならば、この匂いを嗅いだことがある気がしたのも当然だ。


額に感じる手拭いの冷たさから誰かが世話をしていてくれたのだろう。


未だ上手く回らない頭でそんなことを思っていると、歳三はふいに自分の左手のひらに違和感を感じた。


何か暖かいものに包まれているような、そんな感覚。




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