紙吹雪
《兄の助言》
「トシ!てめぇこんな時間まで何してやがったんだ!!」
家に帰宅した歳三を待っていたのは次男・喜六の強烈な怒声。
「あー…ごめん」
歳三はそれを軽く受け流し家の中へ足を進める。
が、無論そう簡単に上手くいくはずもなく、歳三は強制的に喜六の説教へと引きずり込まれた。
歳三は十人兄弟の末っ子だ。この家の中での決定権などないに等しい。
俺を育ててくれたのはお前じゃなくて、のぶ姉だろ!
と言いたいところだが、そうもいかないのが現実。
なにせ土方家は、父が歳三の生まれる前に、母もまた歳三がまだ幼い頃に相次いでこの世を去った。
くわえて長男の為二郎が盲目だったため、次男の喜六がこの家を切り盛りしているのだ。
そんな兄に歳三が文句など言えるはずがない。
「あんま怒ってっと、ぽっくり逝っちまうぜ?兄貴」
「誰のせいだと思ってんだ!誰の!!」