紙吹雪
不思議に思い視線を動かせば、そこにあったのは何よりも誰よりも愛しい人の姿。
「…かお…」
見つけたその姿に肩に走る痛みを無視して上半身を起こす歳三。
辺りを見渡せば部屋の隅に小さな灯りがあるだけで外は暗い。
まだ夜深い時間のようだ。
そんななか布団も掛けずその場に伏せている馨。
恐らく泣き疲れて寝てしまったのだろう。
目尻は擦ったのか赤く腫れ、頬には幾つもの涙の跡が残っている。
…俺のせい、だよな。多分。
自分が泣かせてしまったのかと思うとズキリと痛む歳三の胸。
その痛みに顔を歪めた歳三だったが、視線の先にある左手を見て自然とその表情を和らげる。