紙吹雪
その様子に優しく目を細めながら、歳三は痛む体を無視して身を屈め馨の頬にゆっくりと唇を落とす。
そっと、壊れ物に触れるかのよう丁寧に。
トクントクンと心地好い音を刻む歳三の心臓。
その音が歳三の馨への想いを更に確かなものへと変えていった。
「…ん…むぅ…」
歳三が唇を離すと同時に小さく声を上げ身を捩った馨。
「かお?」
歳三が声をかければ、馨は顔を僅かに開け誰かを探すように視線を彷徨わせる。
その姿に歳三から思わず笑みが零れた。
「悪い。起こしちまったか?」
馨の頭を撫でながらそう言うと、漸く歳三へと向いた馨の視線。
やっとこっち向いた。