紙吹雪
たったそれだけのことが、どうしようもなく嬉しくて。
…俺、意外と重症だったりする…?
どうやら体についた傷よりも心の、所謂恋の病のほうが大変なことになっているようだ。
しかもこればかりは薬やどんなに腕のいい医者でも治せないのだから質が悪い。
歳三の口から漏れる自身に対する情けなさ半分、呆れ半分を含んだ溜息。
そんな歳三を少しの間じっと見つめていた馨だったが、突然がばりと勢い良く体を起こした。
そして次の瞬間、その大きな瞳から流れ落ちたのは綺麗な一筋の涙。
「えっおい、かお?」
それはぽたりと布団に染みを作って。
零れた涙に慌てて馨の顔を覗き込む歳三。