紙吹雪
「ありがと、看ててくれて。嬉しかった」
そう言ってそっと馨の髪を梳かしてやる歳三。
すると馨は顔を俯かせながらふるふると首を横に振り
「ごめんなさ…!私のせいで…怪我、させてもて…っ」
と大粒の涙をぽたり、ぽたりと零した。
再び馨の頬を濡らすそれ。
あまりに綺麗なそれは歳三の心に波紋を広げる。
何度も何度もごめんなさいと繰り返す馨は、いつもよりもずっと小さく見えて。
今にも消えてしまうのではと錯覚しそうなほどに儚く感じて。
その小さな体を抱き締めてやりたい衝動が歳三の体を埋め尽くす。
しかし体は思ったようには動いてくれないらしい。