紙吹雪
かおが気にすることじゃないと笑う歳三だが、馨は首を縦に振ろうとはしない。
ただただ首を左右に振って、止まらない涙を必死に両手で拭っている。
…それはそれで、めちゃくちゃ可愛い動きなんだけどよ。
その小動物を思わせる動きは、何とも言えないほどに歳三の理性を刺激した。
思わず腹の底から疼く体を抑えられる気がしない歳三。
この感覚の名前は知っている。
…完全に欲情してる、俺。
到底表に出していいものとは思えないその感情。
だが抑えきる方法を知らないのもまた事実。
そして歳三は馨にすら聞こえないような小さな声で呟く。
「…いいよな…?抱き締めるくらい」