紙吹雪
理性が本能に負けた瞬間だった。
その後は簡単だ。
みしみしと悲鳴を上げる体を無視して、思いのままにぐっと体を動かす。
今の歳三には己の行動を邪魔する痛みなど関係ない。
この際、途中で見えた馨の心配そうな顔も知らぬふりをして。
歳三の右手は馨の細い腕を強く引き、そのまま自分の膝の上にその小さな体を乗せた。
突然のことに驚いたのであろう、目を見開いて歳三を見つめる馨。
…ちっせー…あー…やっぱ可愛いんだよなぁ。目くりくりだしよ。
そんな彼女の表情に自然と微笑みを浮かべる歳三。
そして目の前の小さな存在をぎゅっと抱き締めた。
まるでそうするのが当たり前のように。