紙吹雪
「!?」
ひゅっと短く息をのむ馨。
抱き締めたその体がぴしりと強張るが歳三に伝わった。
それをいい意味で緊張しているのだと思うのは、流石に自意識過剰だろうか。
小さく震える手が恥じらい故だと感じてしまうのは、高鳴る心音が自分の音だけではないと思ってしまうのは間違いなのだろうか。
そう思いながらも、歳三はその胸に微かな期待を抱かずにはいられない。
川の畔で理性を保てず初めて馨を抱き締めた日。
己の独占欲に気付かされたあの日。
あの時も馨は歳三を強く拒むことはしなかったけれど。
それでもあの日とは違う"何か"を感じずにはいられなかった。