紙吹雪
「…知っても…知っても、嫌いにならん…?」
震える声で弱々しく紡がれた言葉。
その音には隠せない不安が滲み出ていて。
そんな馨の様子があまりに切なくて、歳三の胸がきゅうっと痛む。
どうにかその切なさを取り除いてやりたい。
そう強く思った歳三は馨の頭を撫でながら
「嫌いになんてなるわけねぇだろ。好きすぎて困ってるっつーの」
と困ったように笑いかけた。
その言葉に安心したのか、馨は小さく口元に笑みを浮かべる。
「話して、くれるか?」
歳三の優しい声色にこくりと頷いた馨は一度目を瞑り深く息を吐いてから、ゆっくりと話し始めた。
語られるのは歳三の知らない彼女の話。
第六章〜満月〜・完