紙吹雪




そんな為二郎に歳三は思う。




俺はそんなに機嫌よく帰宅しただろうか?



…いや、確かに浮かれてはいた…と思う。



頭ん中、かおのことでいっぱいで兄貴が怒鳴ってんのも気になんねぇくらいだった。



でも、それほど行動に出てたか?


小踊りして帰ってきたわけでもねぇし…ってか、あれ?




何で為兄にわかるんだ…?




「…兄さん…目、見えてない…よな?」



歳三は嫌な汗が背中に流れるのを感じながら為二郎に疑問をぶつける。

その問いに為二郎は


「当たり前だろ、見えてないさ」


とさらりと答えた。



うん、だよな。見えてないよな。




…鼻歌を歌った記憶はない。



小踊りした記憶も勿論ない。




なのに何故。何故為兄には俺の心境がわかるんだ。



それは歳三には理解の届かない大きな謎。




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