紙吹雪




その任務の殆どが一般に裏稼業と呼ばれるもの。

所謂"暗殺業"である。


そんな立花の存在が御家人や旗本などの大名に知られるようになったのはいつの頃だったか。


気付けば立花の名は強い恐怖とともに密かに囁かれるようになっていた。


仕事の内容を考えれば、恨みや妬みをかうのは仕方のないこと。

その名が広まれば広まるほどその可能性が高くなっていく。


それ故に馨は【殺られる前に殺れ】【死を恐れることなかれ】と幼い頃から繰り返し教えられてきた。


それこそ、この世に生まれ落ちた瞬間から。


それが当然のことだと疑うこともしなかった。


そして迎えた運命のあの日。


目の前に広がったのは真っ赤な血の海で。


それは立花家の事実上の全滅を意味していた。




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