紙吹雪
それは馨が受け継ぐはずだったもの。
伝家の宝刀【紙吹雪】
代々脈々と当主に受け継がれてきたそれは、曰く付きの代物で。
そう易々と人の手に渡っていいものではない。
馨は直ぐ様首謀者に問い詰めた。
あれを何処にやったのか。
誰の手に渡ったのか、と。
そして巡り廻って向かった先。
──────それが、試衛館。
「おてんと様の下歩くなんて…いつ以来なんやろ」
何とか追ってくる忍を撒いた馨。
そんな彼女は多摩川の畔で体についた血を洗い流していた。
そして思い出すのは、この地に来て数日経ったある日のこと。