紙吹雪
思いの外意気投合した両親の間で結ばれた子ども同士の縁談話。
それは生まれながら忍として育てられた馨への両親からの精一杯の配慮だったのか。
はたまた単に楽しんでいただけなのか。
今となってはその真意を知る術はないけれど。
少なくとも互いの家族の総意で結ばれていたことだけは間違いない。
しかし、幼い二人にそんなこと関係あるはずもなく。
許される許されないは別として、この婚約は破棄するものだと二人幼心に誓っていた。
とはいえ決して仲が悪いわけではない馨と惣次郎。
寧ろとても仲睦まじい関係である。
互いの力を認め合い高め合うことの出来る最高の同志。
背中を任せられる信頼に値する相手。
馨が一番に彼を頼ってきたのがその証拠である。