紙吹雪




「そういえば、あの人どないしたんかな」




ふと頭に浮かんだのは、あの日見かけた一人の男の姿。




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この地に来て数日が経ち、漸く惣次郎と会うことが出来たあの日。


馨は薄い朱色の着物を身に纏い惣次郎のもとを訪ねていた。

勿論他の誰にも知られることのないよう、細心の注意は怠らない。




『あれが、試衛館…?』


『はい!僕が今お世話になってる場所ですよ』




そう言って笑った惣次郎の顔はとても晴れやかで。


きっとここでの生活が彼にとってとても充実したものなのだろうと馨は思う。




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