紙吹雪




「何でわかるんだ、ってか?」

「!?」



またしても読まれた心。



実は隠密かなんかなのか!?


と歳三が冷汗を流したのは墓まで持ち帰りたい秘密である。


しかし何故心を読まれたのか。確かに為二郎の目は見えていないはずなのに。



激しく動揺して硬直する歳三に為二郎は



「視覚が不便な分、他の感覚が敏感なんだよ。歳の様子くらい近くにいればすぐにわかる」


と微笑んだ。


「…すげぇな…」


儚く笑う為二郎にもはや感嘆の声しか出ない歳三。

兄とは侮ることの出来ない人物である。




「で?どうなんだ?好きな奴、出来たのか?」




好きな、奴…?




為二郎の言葉に歳三は動きを止め思考をめぐらす。




すき…好き…?




「でっ出来てねぇよ、そんな女!!!!」



好きという単語に理解が及ぶと、歳三は勢い良くそれを否定した。


その時の歳三の顔が真っ赤に染まっていたのは為二郎しか知らない。




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