紙吹雪
『ま!馨は遠慮しないで僕を頼りにきてくださいね!』
そんな馨の思考に気付いていないであろう惣次郎は、先程の瞳が嘘のようににぱっと満面の笑みをその顔に浮かべた。
瞳の中の冷たい炎は姿を消し、暖かな木漏れ日が揺らめいている。
そんな惣次郎に目を見開く馨。
『断るとか、僕がそんなことするわけないじゃないですかー』
心配してたんでしょ、とけらけら声を上げて笑う惣次郎に馨ももうお手上げだ。
どうやら、惣次郎には馨の考えていたことなど全てお見通しだったらしい。
そして、そんな心配はいらないと笑い飛ばす惣次郎。
そんな惣次郎の笑顔に申し訳なさを感じながらも、馨はほっと息を吐いた。
本当、適わんなぁ…