紙吹雪




そのまま試衛館に入っていったところを見ると、誰かに会いに来たのだろうか。


その後ろ姿から見るに、此処に用事があって来たというよりは誰かに会う序でに用事を済ませようという雰囲気であった。


勿論、ただの馨の感でしかないわけだが。

恐らく間違いではないだろう。


それにしても、と馨は思った。




あんな人おんねんなぁ…




やけに顔の整った綺麗な男だった、と。


この田舎で、あのような男を見かけるとは思わなかったのだ。




「…惣ちゃん、今の人は?」




馨は誘われるように男の名前を惣次郎に尋ねる。


馨の言葉に一瞬驚いた表情を見せた惣次郎だったが、すぐに嬉しそうに顔を緩ませその問いに答えた。




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