紙吹雪




「…まぁ歳、こっち来て座れ」



全力で否定した歳三を宥めるように為二郎は手招きして歳三を呼び寄せる。

歳三はたくされるがままに為二郎の隣へと腰をおろした。


二度ほど頷き歳三が座ったことを確認すると、為二郎はゆっくりと歳三に話し始める。



「じゃあ、何か良いことでもあったか?」


「………まぁ…女とは会った、けど…」



もごもごと言葉を濁らせながら正直に答える歳三。どうも為二郎の前だと嘘がつけない。



「あっでも!だからって何でもねぇぞ!?」



歳三は勢い良く首を横に振り、何もなかったと言い張るが、その声は僅かに上擦っている。



「何でもないのか?お前が女一人に喜ぶなんて珍しいじゃねぇか」



為二郎が面白そうに聞き返せば、歳三は噛み付きそうな勢いで吠えた。



「あっあるわけねぇだろ!?喜んでもない!」



見ていて面白いくらい狼狽えているが、それに気付かないほど真剣に言葉を続ける歳三。




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