紙吹雪
だけど、俺はかおの住んでる場所なんて知らねぇから。
唯一わかってるのは今日別れた"試衛館近く"なら可能性があるってことだけ。
つまり会うには上石原に行かなくちゃなんなくて。
散々違うと言いながら歳三は馨に会えない状況にされるのは凄く困るのだ。
ただ、歳三はまだこの気持ちが何なのかわからない。
あからさまに顔面蒼白で拳を握っている歳三に為二郎は
「冗談だよ。ちゃんとこれからも歳に頼む」
だから狼狽えるな、と微笑み歳三の拳をゆっくり解かせた。
解かれていく手のひらにようやく状況が掴めた歳三は安心したように深く息を吐く。
歳三のそんな様に、心の中で安堵の笑みを浮かべる為二郎。
「あ、じゃ…じゃあ俺、部屋行くな?」
「あぁ。引き止めて悪かった」
緊張が解けた歳三は軽く息を吐くと、自室に帰るべく腰を上げた。