紙吹雪
無意識に自分が口走った言葉を思い出すや、歳三の顔はまるで秋の紅葉のごとく赤く染まっていく。
歳三はあまりの恥ずかしさに慌てて顔を逸らし口元を手で覆った。
…可愛い、なんて言葉を言ったのは初めてじゃねぇ。
自慢じゃないが、これでも経験は多い方だと思う。
色んな女と関係を持ったし、その女たちに腐るほど吐いてきた台詞。
でも、こんなに恥ずかしいと思ったことは一度もない。
…………とは言っても…
…いや…うん、可愛かった…けど。
結局歳三の本音はこれで。
目の前の馨が可愛くて仕方ない。
幾ら否定したところで、結局はそこに行き着くのだ。
そうなると今度は馨の様子が気になるのが男の性。
七つ下とはいえ馨も立派な女。
"可愛い"の言葉に多少なりとも何かしらの反応しているだろう。
…まさか無反応…なんてこと…ない、よな…?