紙吹雪
……あぁっ!何だよ、これ!!
理解できない、名前も知らない感情。
だけどその感情は止まってくれなくて。
…でも……もう少し、近づきたい。
「…かお、こっち見て。俺に顔見せて?」
もう一度馨の隣にしゃがみ込み、馨の手を取る。
すると更に赤みを増す馨の頬。
それでも馨はいやいやと顔を横に振り俯いたままだ。
……可愛い……
「…なぁ、かお…三日ぶりだろ?顔見たい。こっち向いて…?」
もう一押しといわんばかりに馨に顔を近づけ甘ったるい声で強請る歳三。
流石というべきか。
こういう場での身の振り方を歳三は本能的に知っている。
ただ一つ予想外だったのは、自分でもこんな声出るのかと思うほど甘い声色が口から洩れたこと。