紙吹雪




顔を真っ赤にして勝太を睨み付ける歳三。


そのなんとも迫力の無い睨みに勝太は笑いそうになるのを必死に堪えているが、肩の震えは隠せていない。

そんななか、ひょこっと歳三の後ろから顔を出した馨は、訝しげに勝太を見つめると



「…あの…歳さん…?そちらの方、は…?」



と首を傾げた。


その問い掛けに馨の方に体の向きを戻した歳三だったが、馨の視線が真っすぐに勝太に向かっているのを見るや、質問に答えるより先に馨の肩をガッと掴み




「止めろ、かお。勝っつぁんなんて見つめるな!そんなん無駄だ!そんな勿体ないことするくらいなら、俺を見ろ!」




と必死に説得を始める。



ガクガクと肩を揺らしながら詰め寄る歳三に返事をしようにも出来ない馨。



< 47 / 320 >

この作品をシェア

pagetop