紙吹雪

勢いよく振り返った先にいたのは歳三のよく見知った人物｡





島崎勝太…試衛館道場の後継ぎであり､後の新選組局長･近藤勇となる男だ｡


勝太の背丈は歳三より少し低く､顔の郭がはりがっしりとした体つき｡



何よりその笑顔は太陽のように明るい｡





｢別にぃ…ちょっと黄昏てただけだよ｣



歳三は口を尖らせ､ふいと顔を逸らした｡





｢お前…また何かやらかしたのか?｣



勝太は呆れたように溜息を吐くと歳三の横に腰を下ろし顔を覗き込む｡





｢………まぁ…｣

｢どうせまた女絡みの問題なんだろ｣



居心地悪そうに答える歳三に､口元を愉しそうに歪ませる勝太｡


勝太がニヤリと笑うのを見た歳三は




｢わかってんなら聞くなよ!!!!｣



と大声で喚くと､盛大な溜息を溢しその場にうなだれた｡




前文で述べた通り､歳三は容姿端麗の色男｡

故に女性からの人気も高く､しかも此処最近男の色気が増してきたものだなら､女も放っておくことをしないので､その手の噂は常に絶えなかった｡





勿論､悪い噂も｡