紙吹雪
「と、しさ…苦し…」
「あ。わ、悪い!かお大丈夫か!?」
歳三は慌てて力を緩め馨を降ろした。
馨は大丈夫、と頷くと勝太に向き直る。
「すみません。歳三に用事だったんです、よね?」
私が引き止めてしまったので…と肩を落とし深く頭を下げる馨に驚きつつも、勝太は首を横に振った。
「いやいや!君が悪いんじゃないんだ。悪いのは全部歳だからさ」
勝太は馨の頭を撫でながら、顔を上げてくれと笑う。
勝太の声におずおずと顔を上げる馨。
「歳、お前何しに来たはないだろ。お前がいつになっても薬売りに来ないから探しに来たんだよ」
顔を上げた馨ににこりと笑みを見せ、気にしないでくれと告げたあと、勝太は呆れ顔で歳三に向き直りここに来た経緯を述べた。
「………あ……」