紙吹雪
勝太の言葉に歳三が固まる。
…あれ…?
俺、そういえば…
「えっ歳さん、お仕事中だったん…ですか?」
「…そうだった、かも」
言われてみれば、そうだった気がしなくもない…
…いや、そうだった。
やっべぇ…忘れてたよ…
それは馨といることに夢中になり、歳三自身が忘れていた事実。
「ご、ごめんなさい!私、知らなくて…呼び止めちゃって…っ」
歳三の服の裾を引っ張り、馨は瞳を伏せて謝罪する。
申し訳なさそうに眉を下げる馨に、歳三の心臓はきゅうっと締め付けられた。
「かおは悪くねぇって。そんな顔すんなよ…な?」
歳三は左手で服を掴んでいる馨の手を取り、右手で優しく頬を撫でる。
んな顔すんなよ。
悲しそうな顔なんて見たくない。
笑って、かお。