紙吹雪




「かお、気を付けろよ!変な男についてっちゃ駄目だかんな!?」



首を捻った勝太とは違い、眉を寄せ心配そうに馨に向かって叫ぶ歳三。

歳三の声に馨はハイッ!と右手を挙げた。
















「…はぁ…」





馨の後ろ姿が見えなくなった頃。


歳三は深い溜息とともに座り込んだ。

うなだれながら頭を掻くと遠くに消えた馨の姿を思い出す。



「…あー…」



何とも言い表わすことの出来ない気持ちに歳三の頭は混乱するばかり。



こんなの知らない。 こんなの俺じゃない。



頭で精一杯否定しても心はついてきてくれなくて。



俺、やっぱ病気か?病気なのか?

かおに会ってから変だ。

顔は熱いし脈は早いし心臓は痛いし。



あーだの、うーだの唸りながら頭を抱える歳三の姿は最後に勝太と会った日からは想像出来ない。

勝太はそんな歳三の横に立つと真面目な顔で問い掛けた。





「…なぁ歳……本気、か?」




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