紙吹雪




そして、すっと勝太から視線を外すとふらふらとあちらこちらに目を泳がせ、そのまま地面を見つめ始める。




……?


…俺が、好き……誰を?



あの子。



あの子って……かおだよな?




俺が、かおを好き…?





為二郎の時同様、歳三の頭の中では勝太が放った"好き"という言葉がぐるぐると繰り返し巡っていた。



もっと簡単なものだと思っていたその感情。




でも、これがその感情なのか…俺にはわからない。




歳三は左手で頭を掻きながら、眉の端を左は上に右は下にさげると





「…んー…俺もよくわかんなくて。為兄にも言われたんだけどよ。いまいち…その"好き"ってのがわかんねぇんだ」




と呟く。




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