紙吹雪
「歳、奉公出てたんじゃないのか?」
「…出てた」
「じゃあ何で…」
「…その奉公先の女が身籠った、とか言いやがって…」
勝太が息をのむのがわかった。
歳三から告げられた思いもよらぬ爆弾発言にしばし続く沈黙と張り詰めた空気。
「はぁ!?それで、どうしたんだ!?」
そんな沈黙を破ったのは勝太の叫び声。
信じられない、いや信じたくないというように体を震わせる勝太は顔面蒼白である。
「いや、まぁ俺の子って決まってねぇし、多分俺の子じゃねぇから抗議してなんとかなった」
それが原因でクビになった、とは口が裂けても言えない歳三。
どもりながら答えれば
「…自分の可能性もあったんだな…?」
と冷たい視線を向けながら痛いところをついてくる勝太。
ありえる。
この男ならしかねない。
いや、寧ろ本当はお前の子だったんじゃ…
とまで考えている勝太からの視線はとにかく痛い。
「…まぁ」
そしてそんな問いに完璧に違うとは答えられない歳三がいた。