紙吹雪
《新月の噂》
味わったのは、ふんわりと心が暖かくなるような不思議な感覚。
それは夕焼けの綺麗な日の出来事──…
「にしても…歳、お前案外独占欲強かったんだ」
夕焼けを背に試衛館に向かって足を進めている二人。
未だにぼーっとしている歳三に勝太はニヤニヤと笑いながらその肩を肘で小突く。
「うっうっせぇ…!!…俺だって初めて知ったっつーの!!」
拗ねたように口を尖らせ、ギッと勝太を睨んでその手を払う歳三だが、その顔はごまかしなどきかないほどに赤く染まっていた。
まさか自分が一人の女を好きになる日が来るなんて。