紙吹雪





「そういや歳、知ってるか?最近この辺でやたら物取りが続いてるらしいんだよ。しかも下弦の三日月から新月に限ってらしいぞ」


「物取り?」




勝太の言葉に歳三は幾分前、為二郎ら聞かされた話を思い出した。


何でも近ごろ下弦の月が三日月に欠けた頃から新月の日まで、きまって物取りが現われるらしい。

中には命を奪われた輩もいるという。


人が命を奪われるのは必ず新月の夜。


故に歳三は兄たちから新月の夜には絶対に外に出るなときつく言われていた。




しかし




「…でもよ…そんなに悪い奴なのか?その物取りって」


「…どういうことだ?」




歳三の意外な発言に勝太は首を傾げる。




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