紙吹雪
《依頼》
覚悟を決めて足を踏み入れた道場の中には門下生は一人もおらず、居たのは道場内の上座に座っていた勝太の養父・近藤周平ただ一人。
周平はこの道場で剣術、天然理心流の師範代を務めている。
勝太の剣筋のもとを作り上げた人だ。
「おう、遅かったな勝太」
「ち、父上!?」
三人の存在に気付いた周平は、こっちへ来いと手招きして三人を呼び寄せる。
勝太と歳三は顔を見合わせた後、内心冷や汗を流しながら周平の前に座り丁寧に頭を下げた。
その一歩後ろに惣次郎も腰をおろす。
…呼び出したの、おやっさんかよ…!!
やべぇ…何がばれたんだ…!?
歳三の頭の中を色々な出来事が巡る。
隣では勝太が緊張した面持ちをしていた。