紙吹雪




自分が百姓の倅としてではなく"一人の男"として貰った初めての仕事。


それは歳三にとってこの上なく嬉しい出来事だった。


後に歳三はこの時のことを、小姓である市村鉄之助にこう語ることになる。




『昔は…何をやっても中途半端でな。まだまだ餓鬼で、どう足掻いても一人前になれなかった俺は、誰かに"俺"を認めてほしくて必死だったんだよ。



だからあの時…"俺"を見てもらえたことが何より嬉しかったんだ』





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