紙吹雪
その日の夜。
「んじゃ惣、ちょっくら行ってくる」
兄たちに、今日の経緯は自分が伝えると言ってくれた周平の言葉に甘えることにした歳三は月が眠る空の下、勝太とともに試衛館の門前に立っていた。
あー…おやっさんが言ってくれても、結局兄貴に怒られるんだろうなぁ…まぁ仕方ねぇか。
諦めたように溜息を吐き空を見上げる歳三。
いつもは空を照らし星を映す月の光を今夜は見つけられない。
「…あの…別に無理して捕まえなくてもいいんですよ…?」
そこまで困ってませんし…と心配そうに二人を見上げる惣次郎。
支度を始めてからというもの、惣次郎は幾度もこの台詞を言い続けている。
仕舞には、特に土方さんは…などと言い出す始末。