紙吹雪
「心配してたのかよ、お前」
紛らわしい顔すんな、と歳三は惣次郎のあたまを小突いた。
痛いですーと頬を膨らませる惣次郎。
「心配する必要なんかねぇって!な、勝っつぁん?」
口元に笑みを見せ問い掛ける歳三に頷くと、勝太はニッと惣次郎に笑いかけ
「大丈夫だ惣次郎。お前の汚名は晴らすからな」
とその小さな頭を撫でる。
惣次郎の口からは微かに、ありがとうございます、という言葉が聞こえた。
「それじゃ、行くか歳」
「おう」
惣次郎との挨拶をすませ、試衛館を後にする二人。
その後ろ姿を見ながら、惣次郎が困ったように空を見上げたことなど知らずに。