紙吹雪

《闇夜の黒猫》






試衛館を後にしてからどれくらいの時間が経ったのだろうか。



ただただ二人で村を歩く。



外灯などほとんど無い田舎道、月明かりもないとなればただ暗いだけの道である。


それに加え、物取りの噂のせいもあってか人の気配すらない。





「……出ねぇな、物取り」




本当にでんの?と疲れたように首を捻る歳三。


ぐるぐると腕を回しながら周辺を見渡す。




「……だな。どうすっか」




試衛館を出てからずっと気を張り続けていたのであろう勝太も流石に疲れてきたようだ。



辺りは静けさに包まれ、聞こえてくるのは虫の音と二人の足音だけ。



物取りの現われそうな雰囲気はまったくない。




「……んじゃよ勝っつぁん、二手に別れて探してみっか?」




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